エメラルドは、ジュエリーの世界で最も名高いジェムストーンのひとつです。エメラルドは、サファイア、ルビー、そしてダイヤモンドとともに四大貴石のひとつとなっています。
なぜエメラルドは、皆が欲しがるのか。エメラルドの主な特徴は何か。日常的に身につけるジュエリーに適したジェムストーンか。
きっとおもちであろう疑問と、それにお答えするために、このガイドをご用意することにしました。これで、エメラルドに関してお分かりならないことはなくなることと思います!
話の核心に入る前に、エメラルドの産地と歴史について共に振り返ってみましょう。
エメラルドの歴史
古典ギリシャ語のSmaragdus「緑色の貴石」に名前の由来があるエメラルドは、何千年も前から皆が欲しがる宝石です。
クレオパトラは、最初の特筆すべきエメラルド愛好家でした。古い文献によると、エジプトの最も偉大な女王クレオパトラは、その伝説的美しさを引き立たせるために、このエメラルドを身につけるのが好きで、その結果、この石がエジプトではジェムストーンの女王になったのです。
古代エジプトでも、オスマン帝国の宮廷でも、インドのムガール帝国の宮廷でも、アステカ王国でも、エメラルドは常に王や権力者の近い位置にありました。
伝説によると、有名なスペイン人征服者のエルナン・コルテスは新世界に到着した日、アステカの王モクテスマから目を見張るような美しさとサイズのエメラルドを贈られ、歓待を受けました。
その美しいグリーンのために、復活と春のシンボルとなっているエメラルドは、往々にして永遠の若さをもたらすよう死者や神々に捧げられていました。
エメラルドの産地
エメラルドの主な採掘地は、今日では、ロシア、ザンビア、ブラジル、そして最も有名なのはコロンビアです。
コロンビアのエメラルドは、その並外れたカラーと純度から、間違いなく最も高く評価されています。コロンビアは、世界のエメラルド生産量の約半分を占める世界一の産出国でもあります。
緑のゴールドへのラッシュ
世界で一番有名なエメラルド鉱山は、ボゴタから約100キロのムゾー鉱山です。この鉱山は、世界で最も澄んだエメラルドを産出することで有名なのですが、1594年に既にスペイン人征服者らが開発していました。
史上最大のエメラルドが産出したのは、正にこの鉱山でした。重さ約3000カラットで今日はウィーン王宮宝物館の所有となっているのが、このUnguentariumです。
エメラルドの歴史についてお話ししたところで、エメラルドの主な特徴を含めた話の核心に入りましょう!
エメラルドの主な特徴
アクアマリン同様、エメラルドはベリル族の石です。そのため、このふたつの石はいとこ同士だということができます。エメラルドの主な特徴
—— 存在の奇跡
エメラルドは、存在するはずのなかった石です。というのは、理論的には相容れないふたつの要素、クロムとベリリウムによって形成されているものだからです。ベリリウムがエメラルドの構造をつくり、非常に特徴的なグリーンカラーはクロムが、バナジウムと時として鉄と共に作り出します。
エメラルドが形成されるには、地質・温度・圧力に関して、奇跡的ともいえるほど非常に特殊な条件が必要で、そのため、これほど特別な石となっているのです。
—— その名が色の名称になった石
エメラルドのグリーンは、とても深く、バランスが取れて、時として青みがかかった・・・他にはない色調です。
この色合いが非常に傑出しているので、エメラルドの名は色の名称に使われるようになりました。こうして、「エメラルドグリーン」は、公認の色の名称となり、れっきとした色名としてあらゆる分野で使われています。
ご存知でしたか
エメラルドは、石そのものをさすだけでなく、その形の名称でもあります。
エメラルドカットとは、長方形で角が斜めになっているカットをさします。角を落とした長方形という言い方もできます。
この呼び名は、エメラルドの美しさが特にこの長方形の形で際立つという、ベリルの結晶としては当たり前の事実からきています。
ペアシェイプカットやオーバルカット、ラウンドカットがあるのと同じように、エメラルドカットのダイヤモンドや、エメラルドカットのアクアマリン等があるわけです。
—— 若干の脆さ
モース硬度で7.5/10のエメラルドは、貴石の中で最も硬度が低く、そのため一番脆い石です。この同じスケールで、硬度10/10のダイヤモンドや、9/10のサファイアやルビーのようなコランダムと同じように扱ってはいけません。
でもご安心ください。「脆い」というのは、エメラルドが触れるや否や分解してしまうということではありません!ジュエリーには最適で、少しばかり注意が必要で、特に衝撃を避けるように気をつけなければならないだけです。
この脆さはどこからくるのでしょう
エメラルドは、目に見えるインクルージョンがあるのが普通の石で、それは多くの天然石と同じです。
インクルージョンとは、石が形成される過程で、外部から入り込んで内包物となった色々なものです。
エメラルドのインクルージョンはどのようなものですか?
石の内側の白いベールのように見えるインクルージョンは、フランス語で一般に「樹氷」とよばれていますが、エメラルドの場合は「石の中の庭」という心和む名がついています。インクルージョンの存在は、至極当たり前のことで、それぞれの石が世界にふたつとないという価値を生み、指紋のような役割を果たしているとさえいえます。それぞれのエメラルドは、それ固有のインクルージョンを内包しており、それによって石はそれぞれ一点ものとなっています。
エメラルドは、元々インクルージョンが多いため、硬度を上げてジュエリーにより適したものとなるよう手を加える必要があります。
どんな処理が加えられているのか
エメラルドの伝統的処理では、シダーウッドオイルに浸けます。これは、どろっとしてとてもねばつく無色の天然オイルで、非常に細かいひびに入り込み、そうすることでエメラルドにより耐久性がつきます。
この技術は、国際的宝石鑑定機関で、自然の合法的な処理と認められています。この処理をしても、エメラルドの価格にも価値にも、なんの悪影響もありません!むしろその逆です!
ジェミオでは、エメラルドに施す唯一の処理です。
注記:構造が特殊なため、エメラルドは加熱処理をしていない数少ない天然のカラーそのままの石のひとつです。単に、エメラルドは、加熱処理に耐えられないだろうという理由によります。後段でみますが、エメラルドは熱があまり得意でないのです。
このような特徴以外に、エメラルドはそのクオリティの高さでも有名です。クオリティは何が決めるのでしょうか。
エメラルドのクオリティ
—— カラーストーンの最高のクオリティ、AAA品質
ダイヤモンドとは違い、カラーストーンには国際的に認められた比較のための標準的制度がありません。
とはいえ、エメラルドのようなカラーストーンの鑑定はダイヤモンドと同じくらい厳密で、3つのクオリティレベルが設けられています。
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Aは一般的な中程度のクオリティを指します。
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AAはより稀少性の高いクオリティのものです。特に大手販業者というより、地元の小規模な宝石商が扱っています。欠陥が少なく色が鮮やかな、優れたクオリティであることを表します。
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AAAは、カラーストーンの最高のクオリティを表します。欠陥がまったくなく、優れた輝き、鮮やか且つ均一な色合いであることを表します。
エメラルドのこういった品質評価はどのように行うのでしょうか?
エメラルドの品質評価は、ダイヤモンドの鑑定に使用されている国際基準である4つのCから直接着想を得たものです。つまり:
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色(Color):天然か、処理によって改良されているか
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重量(Carat):石のカラット数
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カット(Cut)またはファセット処理:石のファセットカットのクオリティと形の評価
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クラリティ(Clarity):肉眼または10倍の拡大鏡で見えるインクルージョンの有無
ジェミオでは、すべてのカラーストーンがAAA品質であることを保証しています。ジェミオの宝石鑑定士によるこの鑑定は、流通している最高のもの中から、完璧なカットと輝きをもつ最高のクオリティの石をお選びいただけることを保証するものです。
—— おまけ情報:EXCエメラルド
ジェミオの一部のモデルで、EXCという頭文字のつくエメラルドをご用意していることにきっと気づかれたことでしょう。これはd'exception(エクセプション:卓越した)を表しています。
卓越したエメラルドとは、非常に澄んでいるという点で並外れた石で、当社の鑑定士が非常に高いクオリティのものであるとした石をさします。そういったエメラルドは、当社の宝石鑑定士が選び出す機会に恵まれたほんの少しの石です。
当社の店舗にいらしていただければ、直接EXCエメラルドを選んでいただくことが可能です。
FAQ
—— 「ジェミオのエメラルドの産地はどこですか?」
ジェミオのエメラルドはすべてブラジル産です。ジェムストーンのクオリティーの高さで最も有名な国の一つです。
—— 「エメラルドは稀少なのか」
エメラルドは、「稀少である」と言われる石です。それは、ご説明したように、形成されるのに非常に特殊な環境が必要だからです。エメラルドが、南アメリカ大陸のように、比較的特定の地域にあるのはそのためです。そこには、エメラルドが生まれるために必要な地質条件がすべて整っているのです。
多くのジェムストーン同様、純度・カラー・カットによって稀少性は変わり、価格も非常に大きく変わります。
そのため、エメラルドの純度が高ければ高いほど、稀少性が高まり、お値段もあがります。あらゆる石の中で、元々インクルージョンのあるのが普通であるエメラルドが、おそらくそれを確かめやすいでしょう。
—— 「エメラルドが脆いというのは、具体的にジュエリーとしてはどういった意味があるのでしょう?」
お話ししましたように、他の貴石と比較して相対的に脆い石ではあっても、エメラルドを身につけるのを怖がる必要はもちろんありません!
エメラルドは、その特性のために、少し注意深く衝撃を避ける必要があるだけです。特に、エメラルドは、熱を嫌います。ですから、大きな気温変化にはお気をつけください。
日常的な具体例を挙げますと、エメラルドのリングをしたまま、料理を取り出すためにオーブンの中に手を入れるのは、あまりいい考えではありません。
—— 「エメラルドのジュエリーのお手入れはどのようにすればいいでしょうか」
エメラルドのジュエリーのお手入れは、これ以上ないほどシンプルです。おすすめは、ジュエリーすべてに共通ですが、ぬるめのせっけん水と柔らかい毛のブラシをお使いください。
注記:ジェミオでは、大多数のジュエリーメゾン同様、直に店舗でプロによるクリーニングを行っております。このためには、「超音波洗浄機」というものを用いて、ジュエリーを奥までクリーニングし、石の下に入り込んでいるかもしれない汚れを除去します。
このクリーニング方法は、エメラルドのジュエリーに対しては、決してやってはいけません。振動で傷めてしまうかもしれないからです。ですので、万一他所で、このクリーニングをエメラルドのジュエリーにすすめられたら、気をつけてください。
ジュエリーのお手入れに関するアドバイスは、こちらに完全ガイドのご用意があります。
—— 「エメラルドにはどんな金属をあわせればよいでしょうか?」
伝統的にはイエローゴールドと組み合わせますが、エメラルドは、ローズゴールドやホワイトゴールドとも相性がとてもいいです。
一方、ブラックゴールドは、石のカラーをややくすませてしまう傾向にありますが、オリジナリティのあるスタイルを表現できる可能性もあります。
エメラルドのカラーを引き立たせたいとお考えであれば、ホワイトゴールドやプラチナと組み合わせることで、元の色合いを損なわせることなく、石の輝きを際立たせることができるでしょう。
—— 「どんなときにエメラルドを贈ればよいですか?」
一般に、20回目と40回目の結婚記念日を祝うのに、プレゼントとして贈ります。誕生日との関連でいえば、5月の誕生石であり、また、ふたご座の守護石です。
ジェミオのエメラルドのジュエリーをご覧ください。
特に、ジェミオのエメラルドの婚約指輪をご覧ください。
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